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2016年9月1日 更新

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すべて原点はゴジラにあり

――KADOKAWA井上伸一郎さんのマイフェイバリット

株式会社KADOKAWAで代表取締役専務執行役員を務める井上伸一郎さん。大学時代のアルバイトから出版の世界に入り、「月刊ニュータイプ」「月刊少年エース」などのアニメ・マンガ誌を創刊したり、編集長を歴任した井上さんですが、「アニメを入れると10作品に収まらない」ということで、今回は実写に絞ってご自宅からお持ち頂いたというお気に入りの作品をピックアップ頂きました。自ら映画作りも進める井上さんの原点とこれからを知るラインナップになっています。

PROFILE
PROFILE

井上伸一郎(Shinichiro Inoue)

1959年東京生まれ。株式会社KADOKAWA代表取締役専務。87年4月、ザテレビジョン入社。アニメ雑誌『月刊ニュータイプ』の創刊に副編集長として参加。以後、情報誌『ChouChou』、マンガ雑誌『月刊少年エース』などの創刊編集長などを歴任。07年1月、角川書店 代表取締役社長に就任。13年4月、角川グループホールディングス(現KADOKAWA)代表取締役専務に就任。

第1位:「ゴジラ」

  • 春の珍事

井上:わたしが最初にみた映画が、1963年に公開された東宝さんの「太平洋の翼」という戦記物で、あの円谷英二さんが特撮を担当されていたんです。わたしは大変衝撃を受けて、映画の監督よりも特技監督の円谷英二さんの名前が強く胸に刻まれました。

その翌年には「三大怪獣 地球最大の決戦」を見たのですが、当時幼稚園児だったわたしが熱を出してしまうほど、興奮してハマってしまったんですね(笑)。 生まれたのが遅かったので、その原点とも言える最初の「ゴジラ」は、テレビ放送で見ることになりましたが、もうVHS・LD・DVDと全て揃えていって、いまBlu-rayがここにあるというわけです。

ーー白黒映画、それも特撮のBlu-ray化ということで「果たして大丈夫だろうか? (視聴に耐えうるか)という声もありましたが。

井上:「戦闘機などをつり下げるピアノ線が見える」なんて指摘する人もいますが、わたしはそこは脳内補完して「見えない」ことにしています(笑)。全く問題無かったというか、素晴らしいクオリティでBD化されたと思います。わたしは、ときどき会社の若い人を自宅に招いて映画の上映会をするんですが、「基礎教養」として――それは単に怪獣映画としてでなく、日本映画の基礎教養として――黒澤明、小津安二郎、そしてこの円谷英二の「ゴジラ」などは見てもらうようにしているんです。

どうしても一度仕事でこの世界に入ってしまうと、新刊の書籍・新作の映画と向き合うのに追われてしまいます。結果として古典や名作に触れる機会がなくなってしまう。本来は社会人になる前に、親しんでおいてほしいのですが、取りこぼしもあるでしょう。なので無理矢理機会を作っている、という感じですね。

「ゴジラ」はそんな古典・名作のなかでも、見せた皆が無言で真剣に見入る作品です。特撮もドラマも作り手が真剣に作っている、というのが古い作品であるにも関わらず伝わるからなのだと思います。太平洋戦争が終わってわずか9年目の作品なので、空襲や原爆の記憶が色濃く反映されている、というのはよく指摘されていますね。

ーーたしかにそういった意味でも、その後続く宇宙戦艦ヤマトなどの源流でもあると言えそうですね。

井上:そうですね、超兵器で最後は倒すというところも共通します。ただより重要なのは、一般市民が苦しむ様子が丁寧に描かれた上で、平和を祈る少女たちの歌声で芹沢博士が、その考えを変えるところですね。非常に感動的なシーンだと思います。短期間で製作されたにもかかわらず、そういったテーマとストーリーが見事に組み合わさっていて、やはり絶対にみて欲しい=まず一番に挙げなければならない作品なのです。

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