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BD結 第8回 花田十輝さんに聞く『登場人物の感情は、面倒だからこそリアルに描く意味がある』

インタビュー&記事 結(yui)

少〜し影の薄い男性陣

―「物語の中で男の子の存在ってどうなるのだろうなぁと思っているのですが。

花田 「どうなるんでしょうねぇ(笑)」

―いまの状態だと影が薄いですよね。

花田 「1期に関しては、特に原作一巻の段階で久美子と秀一の仲について決着がつかない状態だったので、続編があるかも分からないのに、アニメでそこを思わせぶりに描いておいて何も振れずに終わる訳にはいかないよね。かといって、オリジナルで決着つけさせる訳にもいかないだろう。ということで、秀一に関しては幼なじみというところ以上には進めないという感じでちょっと引かせたのは事実です。」

―1期はあえて秀一とかを後ろに引かせたのですか

花田 「ストーリーが久美子と麗奈の距離が縮まって、最終的にオーディションという流れだったので、どうしても終盤、秀一をからませにくいというのがありました。実は原作では、久美子の相談相手は麗奈よりも秀一だったりしている部分が多いのですが、そこの部分を麗奈に変えていたりして、秀一の印象をあえて薄くして、お話の焦点を久美子と麗奈に絞ろうと。一話の秀一と久美子が出会うシーンなどは原作と見比べてると分かると思いますが、久美子の秀一への意識が相当薄くなっている。ここらへんは構成を決める最初の段階で決まっていました。」

―その意味では待望の2期ということですね

花田 「がんばってほしいですね(笑)」

―男性といえば顧問の滝は謎が多いですよね

花田 「そこはご心配なく。2期でしっかりと出てくると思います。」

―あの先生のかっこよさも生々しいと思うんです。あんな先生がいたら、みんなで文句言いつつも、きっと好きになっちゃうだろうなぁと。

花田 「これも吹奏楽部独特だと思うんですけど、顧問によって演奏が大きく変わるということがあります。部の演奏を大きく左右するキーを握ってる存在。以前は全然ダメだった学校が、顧問が代わっただけで1年で全国大会に出てしまうという話を実際に聞いたりすると、その比重って他の部活に比べて大きいんだなと思います。そうなると、みんなの顧問を見る目も厳しくなるだろうし、一度認めたときの信頼や尊敬の度合いの高さもすごいんだろうなと思って。なので前半でみんなの気持ちを掴んでいく滝の姿は、丁寧にやっていきたいという話はしてました。」

―取材した中、実際の先生方はいかがでしたでしょうか?

花田 「取材をしてると、どの先生も実に様々なことをされてますね。それですごく生徒の心を掴むということに苦労されているというか、工夫しているなぁと思いました。」

―何か感心したエピソードはありましたでしょうか?

花田 「京都府大会、関西大会、全国大会の取材すると、全国大会に出る先生はやっぱりちょっと違いますね。生徒たちから見たカリスマ度合いがツーランクくらい違う。なんかもう登場しただけで取材できているこっちまでビシッと背筋が伸びてしまうような。取材では、裏側で先生がどんな感じで生徒を落ち着かせて演奏まで持って行くか、最後の挨拶でどんなこと言うかとか、終わった後どんなふうに生徒をなぐさめてるかとか、そういうシーンを見て、なるほどこれは活かそうと思ったりしました。」

―そういうところまで見られたのですか。

花田 「はい、いろいろ見せて頂きました。1期の最後の音出しのとき、メガネの子が「私チューニングの音がずれてる」というシーンあるじゃないですか。あれは実際に取材で見てそのまんま目の前で繰り広げられた光景でした。」

初見の人もすっと入れる劇場版

―1期の後に劇場版がありましたが、よくあのボリュームを2時間にまとめましたよね。あの取捨選択っていうのはどのように判断されたのでしょうか?

花田 「あれは、実は監督が選んだんです。」

―家族の下りがカットされていたりとか

花田 「久美子と麗奈の物語として、とにかくキレイにまとめようという意識のもとにあの映画は作られていて、非常に見やすいというか、1本の映画としてきれいにまとまっていたような気はしています。」

―ただただカットしただけではない、初見の人が見てもアニメ見たいなという思える内容でしたね

花田 「他のキャラクターの表情を足すことによって、この子の物語はテレビにあるんだろうなというように思わせるようにしてありましたよね。」

―先輩達の中でいうとどなたが好きでしょうか?

花田 「晴香ですね。晴香はダメなのに部長やらされてる健気さというか、かわいそうさが好きですね。」

―2期の1話で彼女だけ泣いたじゃないですか。あれちょっと怖かったんです……部長、部内でどう思われてるのかな。大丈夫かな、と。

花田 「ある種、常に一杯一杯なんですよね。まあ横にあすかがいたらこうもなるわなと。でも、あすか、香織、晴香の関係はいかにも上級生っぽくて僕好きなんです。ほんとにこういう3年生いるなという空気が流れてる。」

―自分の先輩ってずっと先輩だった気がするというか、その人が1年生だったことが想像できない人が先輩なんですよね。

花田 「久美子からあすかを見た時の大人感ってはんぱないじゃないですか。あれって、高校1年生から3年生を見た時に、そういえばこんな感じだったという気がするんです。大人になってからだとたかだか2年しか違わないんですけど、その差をすごく大きく感じる感覚というのは、リアルだなあって思ってました。」

―2期では鎧塚先輩が注目だと思うんですけど、彼女って麗奈とまた違った浮いてる存在ですね。

花田 「そうですね。彼女と希美のほうがより関係性としては生々しい気がしています。この2人に関しては、女の子同士の関係としてリアリティがあるんじゃないかな。」

―それは胃が痛くなるようなことですか?

花田 「原作読んだときに、えっこんなことで?というような些細なことでボタンを掛け違えて。これで2人はすれ違ってしまうの?というくらい些細なことなんですけど、たぶん現実ってそうだなってちょっと思ってて、それがすごくリアルだなぁって。実際うまくいかなくなるって、こんなことがきっかけなんだろうなって感じましたね。」

―2期2話の水着回は、普通のアニメだったらちょっとした息抜き回になるはずが、なぜこんなに胃が重いんだろうと。

花田 「ねぇ(笑) 夏紀と優子がずっと喧嘩してればいいのに。学園祭も目一杯描きたかったんですが。こればかりはなんとも。あと四本分足りないから一ヵ月放送延ばして。とは言えないので、実際に書いたものを泣く泣くカットしました(笑)。」

―あんな胃が重い水着回、初めてみました(笑)

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© 武田綾乃・宝島社 / 『響け!』製作委員会