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BD結 第5回 「ピンポン」劇判 牛尾憲輔に聞く『譜面台に漫画を置いて、アニメに宛てる』

インタビュー&記事 結(yui)

MISSION5

 あけましておめでとうございます!結(ゆい)です。いまさらながら、部長から年賀状が来ていたんです……と思ったら、早速の指令!? ふふふ、2014年マイベスト劇判音楽作品といえば、この作品しかないでしょう!

アニメの劇伴音楽の作り方って?

(C)松本大洋・小学館/アニメ「ピンポン」製作委員会

―昨年に『ピンポン COMPLETE BOX』が発売されて、サントラの音源も単体で聴けるようになりましたね。反響はどうでした?

牛尾 「おかげさまでご好評をいただいている……と思います。Amazonのレビューとかを見ても、音楽についてたくさん書いていただいて。」

―レビューを自分で見るのね!

牛尾 「見ます見ます。」

―今回はサントラを単独で発売するということになったけれど、それにはどういう思いがありましたか?

牛尾 「コンプリート版にしか付属していなかったものが、多くの人の手に渡りやすくなったのはすごく嬉しいです。ただ、サントラは1枚なんですが、コンプリート版は2枚組で、アウトテイク(本編で使われなかった曲)も入ってます。」

―そちらに収録されているもので、聴いてほしいものはありますか?

牛尾 「劇中で使われた曲がフル尺になっているものは、全部聴いて欲しいですね。あと、使われなかったものの中にも、力を入れた楽曲があるし、いろいろ思い出もあったりして。たとえば、ペコの膝が壊れるかもしれない……という恐怖心を書いた「Afraid」という曲は、細かくエディットをしたら、細かすぎて放送コードに引っかかったんです。」

―細かすぎて!?

牛尾 「視聴者に機器不良と誤認させるノイズが入るような音楽って、放送局の判断で自粛対象になることがあって。「Afraid」はノイズが多すぎたということで、作り直しました。
 あと聴きどころとしては……監督の意向で、このキャラはこのテーマ、というのが決まっていたんです。ドラゴンならドラゴン、ペコならペコ。メロディーだけ使って、違うアレンジをしている。元が明るい曲なのに悲しく仕上げているものなどがあるので、印象が違うから聴き比べると面白いと思います。でも、スマイルにはテーマがないんですよね。」

―どうしてスマイルのテーマはないの?

牛尾 「ヒーローを追いかけてるから、彼のテーマはペコのテーマなんじゃないんでしょうか……。そこは監督の解釈の領域ですけれども。あと、アニメ版のオリジナルキャラ・百合枝が出てくるんですが、彼女が独り立ちするシーンがあって、そのために書いた曲があるんです(「Stand On Her Own Feets」)。
 もともとは卓球用品店のCMのポップでキャッチーな曲で、「80年代の車のCMみたいにして」って言われて作ったものだったんです。それをアレンジして切ない感じにしたものなんですが、そのバージョンが自分でも気に入ってます。」

―これがかかったら、見え方がガラッと変わりそう! 百合枝さんが独り立ちするシーンって、あえて哀愁を漂わせない潔さがあったけど、これがかかったら切なすぎてツラい!

牛尾 「切なすぎたから、かからなかったのかもね。」

―でも牛尾さんの中ではこのくらい切なかったのですね!

牛尾 「独り立ちしてますからね、家からも、ドラゴンからも。」

―確かに百合枝さんは切ない! クリスマスのシーンとか。ひたすら弱さをみせない女性だったからなぁ。最後まで凛として決断する姿は涙腺にきたなぁ……。

リクエストの答え方

―劇伴だと、楽曲をいろいろとオーダーされると思うんだけれど、どういうリクエストがありましたか?

牛尾 「音響監督さんからオーダーが来るんですけど、「卓球部の楽しい面々」とか、「海王学園の練習風景」とか、「挫折していくアクマ」とか、そういう感じです。35曲くらいオーダーが来て、それにこたえる形でやっていきましたね。切ないシーンなら切ないシーンすべて、激しいシーンなら激しいシーンすべてで使えるように心がけました。
 でも、原作を全部読んでいるから、「このシーンはぜひ書きたい!」というのがたくさんあるんですね。スマイルが練習中に逃げ出すシーンは、それにあわせて書いてみたりしました。あとは楽曲的なアイディアから作ったものもあります。「卓球の球の音を使ってみよう!」とか。
 たとえば第3話の冒頭、インターハイが始まるシーンは音楽に合わせてシーンができあがったんです。逆ももちろんあって、普通アニメって放送開始前に何十曲と渡して、そこに音響監督さんがあてていくんだけど、最終話だけは早めに絵をもらって、それにあわせて作曲し直したりとか。」

―アレンジでどんどん音楽が繋がっていくところがあったけれど、あそこは牛尾さんが指示したんですか?

牛尾 「あれは選曲の方が、曲とタイムから奇跡的に繋げられたんです。最終話だと、尺と絵だけもらって、切り替わりのタイミングで音が変わるようにして作ったんですね。Aパートで使われた「手のひらを太陽に」という曲も、ある程度作ったあとに、ガイドラインを選曲さんに渡して、音響監督と選曲さんがシーンにあてて、こういうふうに使いますというのをまず作る。それを戻してもらって、こちらでもう一度作曲し直すみたいな。
 あと、Bパートは時間が経っているので、全部「5年後リミックス」ということにしたかった。大人っぽく昔を懐かしむような感じにするために、音響監督と選曲さんに「この曲を使う」というリストをもらって、4小節なら4小節、16小節なら16小節、使う分だけリミックスして。僕のわがままをスタッフみんなが引き笑いで聞いてくれたんです(笑)。
 だからBパートの最後で、「Tenderness(5years after)」〜「Farewell Song」〜「Hero Appears(Reprise)」というふうにリアレンジ曲を絡めて繋いでくれたのは、もう最高でした。」

―そういう熱をもって作られていたんですね。私もヒーローのテーマが最終話のラストで流れたときは……鳥肌が立ちました!

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